薬価改定の仕組みをイチから学ぶ

2018年4月からの薬価が発表されました。

今回の薬価改定は、薬によっては50%以上薬価が下がるものもあります。

なかなか衝撃的ですよね(笑)

いつも薬価改定って、「この薬は○○円です!」っていう結果しか気にしていなくて「この薬が○○円となるに至った計算式は?」という過程の部分を気にしてこなかったんですよね。

というか、過程の計算が難しいというかブラックボックス感満載で気にしないようにしてきました(笑)

ただ、せっかくの機会なので今回は真面目に勉強しようかなと思って記事にしてみます。

先に言っておくと、色々と調べても分からない部分が結構ありました(笑)

製薬会社で働いてる人は詳しいと思うので、もしこのブログを見てる人がいれば、分からない部分を教えていただけると助かります。

ということで、まずは薬価改定とは何なのかという基本的な部分から。

薬価改定とは

そもそも日本には、保険医療に使用できる医薬品の品目とその価格を定めた薬価基準というものがあります。

そして病院や薬局が保険請求をする場合には、薬剤料は薬価基準で定められた価格(薬価)に基づいて計算します。

その薬価を、卸が病院や薬局に対して販売するときの価格(市場実勢価格)を調査(薬価調査)し、その結果に基づいて定期的に改定することを薬価改定といいます。

※製薬会社が卸に販売する価格ではなく、卸が病院や薬局に販売する価格です。

ほとんどの場合、卸薬価よりも少し安い価格で病院や薬局に販売します。

その価格に基づいて改定を行うので、薬価改定のたびに薬価は下がっていくわけです。

新薬価の算定方式

新薬価の算定方式は以下の通り。

新薬価=病院・薬局への販売価格の加重平均値(税抜の市場実勢価格)×(1+消費税率)+調整幅

薬代には消費税が含まれている!」の記事でも載せた式ですね。

当然ですが、取引先の病院や薬局によって同じ薬でも販売価格が異なります。もちろん卸によっても異なります。

強いところには安く、弱いところには高く売るのが基本です(笑)

その販売価格を調査して加重平均値を算出し、消費税を加え、更に調整幅(改定前薬価の2%)を加えた額が新薬価となります。

薬価の調整幅とは

調整幅はR幅(リーズナブル ゾーンとも言います。

平成4年頃から現在の新薬価算定方式が取られているのですが、それ以前はバルクライン方式といって薬価が高止まりするような算定方式でした。

それによって大きな薬価差益が生まれていたのですが、その方式から現在の算定方式に変更する際に

「薬剤流通の安定のため」

という名目で調整幅が設けられています。

意味の分からない名目ですが、ようは薬価が一気に下がり過ぎないようにするためでしょうか。

平成4年は調整幅も15%だったのですが、段階的に引き下げられて現在は2%となっています。

薬価改定の例外

ここまで薬価改定の基本的な部分を書いてきましたが、実際には全てがこの算定式で決められるわけではありません。

いくつか例外的な算出をされるものがありますので、それらを見ていきます。

①長期収載品の価格引下げ

長期収載品という言葉にキチンとした定義があるのか不明なのですが、すでにジェネリック医薬品の存在する先発医薬品はどんどん薬価を下げていくという仕組みがあります。

ジェネリック医薬品の薬価収載後5年

ジェネリック医薬品が薬価収載されて5年と10年で異なる薬価の引き下げがあります。

まず5年後には、ジェネリック医薬品への変更が進んでいない先発医薬品が引き下げられます。

ようは、ジェネリック医薬品があるにも関わらず売れちゃってる先発医薬品ですね。

・40%未満 :▲2.0%
・40%以上60%未満 :▲1.75%
・60%以上80%未満 :▲1.5%

このパーセント分、基本となる市場実勢価格から算定した新薬価に加えて引き下げられます。

ジェネリック医薬品への変更が40%未満だと、追加で2%の薬価引き下げですね。

ジェネリック医薬品の薬価収載後10年

10年後からは、市場実勢価格は関係なくジェネリック医薬品の薬価を参考にします。

薬価引き下げ

この厚労省作成の図が分かりやすいのですが、まず10年後に薬価が後発品の2.5倍となります。

そこから、ジェネリック医薬品への置き換え率が80%以上の薬は6年かけて、80%未満の薬は10年をかけて段階的に薬価を引き下げていき、最終的にはジェネリック医薬品と同じ薬価になります。

②ジェネリック医薬品の価格帯集約

当然といえば当然ですが、ジェネリック医薬品もメーカーによって薬価が異なります。

市場実勢価格から算定していれば当然そうなりますよね。

ただ数年前から、市場実勢価格を算定したうえで、先発医薬品の薬価と比べて、「50%以上」「30%~50%未満」「30%未満」という3価格帯に集約されています。(それぞれの価格帯の中で加重平均値をとる)

その結果、ジェネリック医薬品の薬価は同じ成分の中では3価格しかありません。

さらに上市して12年経過後には原則1価格となります。

これによって、ジェネリック医薬品に関しては実際に市場実勢価格から算定した新薬価と多少の誤差が出ることになります。

③基礎的医薬品

基礎的医薬品は平成28年度の薬価改定から出来た仕組みです。

薬価改定を繰り返す中で薬価が下がり過ぎ、中には製薬会社が不採算となって安定供給が心配される医薬品があります。

そのような医薬品の中で、広く使用され汎用性があるものが基礎的医薬品として指定されます。

指定されると、その医薬品成分を各社が販売している中から最も販売額の大きいものの価格に集約し、その薬価を維持することとなります。

それによって安定供給が確保されます。

販売額の大きいものに集約されるため基礎的医薬品に指定されると薬価が上がることがあり、薬価改定において薬価が上がっている場合、ほとんどが基礎的医薬品に指定された時です。

④新薬創出加算

新薬創出加算については以前に記事にしています。

以前の記事>>>薬価収載と新薬創出加算の意外な関係性

新薬創出加算の適用された新薬は、市場実勢価格に基づく薬価の引下げが猶予され、薬価が維持されます。

そしてその新薬のジェネリック医薬品が薬価収載されると、それまで猶予されていた分も含めていっきに薬価が引き下げられます。

新薬創出加算の見直し

そんな新薬創出加算ですが、平成30年度の薬価改定で大幅な見直しが行われます。

「ジェネリック医薬品が薬価収載されていない」といった要件が撤廃され、「希少疾病用」「新規作用機序」などの要件となっています。

これによって薬価改定で薬価が維持されたり、突然に新薬創出加算が外れて大きく薬価が下がったり。

正直どういった基準で加算適応の有無を決めているのか分からないので、外から見てると意味不明です(笑)

製薬企業の区分分け

さらに、新薬創出加算については製薬企業が区分1、2、3に分けられ、区分1の企業は加算を100%受けられるようですが、区分2の企業は90%区分3の企業は80%しか受けられないような仕組みにもなりました。

まさにブラックボックス(笑)

とりあえず新薬創出加算が適応される医薬品は3割近く減ったようですが、この加算に絡む医薬品の薬価変動は付いていけないなあというのが感想です。

まとめ

以上、自分が理解できた範囲で薬価改定についてまとめてみました。

一番基本となる市場実勢価格に基づいた新薬価の算出方式はまだ理解できました。

しかし、例外的な算出方式、特に新薬創出加算が絡んでくるともう意味不明ですね。

他にも細かな例外事項はあるような気がします。でも、もう追いきれません(笑)

もし、これは!っていうのがあれば教えてほしいです。

しかしまあ、これらの仕組みを完全に理解できてる人ってどれくらいいるんですかね。

年金のマクロスライド並みに複雑な気がしますわ(笑)