エサキセレノンが高血圧治療薬として承認申請

第一三共が、ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー「エサキセレノン」(CS-3150)高血圧症の治療薬として日本で承認申請を行いました。⇒「エサキセレノン」の高血圧症に係る国内製造販売承認申請について

エサキセレノンは、Exelixis(エグゼリキス)社(米国)との共同研究で見出され、第一三共が単独で開発した新しい世代の非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー(以下MRB)です。

MRBということでセララ(エプレレノン)と同系統の薬かと思うのですが、意外にも構造が全然違ったりします。

更にバイエル薬品も同系統の「フィネレノン」(BAY 94-8862)を開発中ですので、今回はその辺りのことをまとめておこうと思います。

ミネラルコルチコイド受容体(MR)の阻害

ミネラルコルチコイドの一種であるアルドステロンによってミネラルコルチコイド受容体(以下MR)が活性化されると、腎臓の尿細管でナトリウム及び水分の再吸収が促進され、それによって血圧上昇が起こります。

セララや今回のエサキセレノンは、このMRを選択的に阻害することで血圧上昇を抑えます

また、MRは腎臓だけでなく心臓や血管など様々な部位に存在することが報告されており、過剰なMRの活性化は心臓や腎臓などの臓器障害を引き起こすことが知られています。

そのため、MRを阻害することで血圧上昇を抑えるだけでなく、心臓や腎臓の保護作用にも期待がもてます。

MRを選択的に阻害
選択的に阻害ということが強調されていますが、選択性の低いMR阻害薬にアルダクトンA(スピロノラクトン)があります。アルダクトンAはMRへの選択性が低く、プロゲステロンなどの性ホルモン受容体も阻害してしまい、女性化乳房や不正出血などの副作用がありました。そのため、MRに選択的ということが重要となります。

エサキセレノンとセララの違い

選択的にMRを阻害するということでMRBのセララと同様の作用機序が予想されるのですが、大きな違いとして構造が挙げられます。

セララの構造

ステロイド様の構造を有するセララに対し、エサキセレノンの構造がこちら。

エサキセレノンの構造

全然違います(笑)

トリフルオロメチル基とかスルホニル基とか入っちゃってます。

こんなに構造が違うのに同じMRを阻害して効果を発揮するんだから、薬って面白いですね。

ちなみにエサキセレノンは非ステロイド構造のため、もしかすると副作用が違ってくるかもしれません。

糖尿病性腎症の第3相臨床試験も進行中

セララは高血圧に加えて慢性心不全の適応を持っているのですが、エサキセレノンは高血圧に加えて、糖尿病性腎症に対して現在第3相臨床試験が進行中です。

高血圧症患者を対象としたESAX-HTN試験では、セララと比較して非劣勢であることが検証されています。

これはおそらく、エサキセレノンの降圧作用はそこまで強くないということでしょう。

たとえ高血圧症の治療薬として承認されても、セララと同じくそこまで積極的には使われないと思います。

それよりも、糖尿病性腎症の適応を取得して腎保護作用をアピールしていく予定ではないでしょうか。

現在進行中のESAX-DN試験は、ARBまたはACE阻害薬が投与されている微量アルブミン尿を有する2型糖尿病患者400名を対象に、エサキセレノンの有効性および安全性を検証するプラセボ対照二重盲検比較試験となっています。

バイエル薬品もフィネレノンを開発中

こちらは数年前にも話題になっているのですが、バイエル薬品でも現在非ステロイド型選択的MRBフィネレノンを開発中で、第3相臨床試験を行っています。⇒新薬・治験情報

製薬協のホームページでは「糖尿病を伴う慢性腎臓病」を対象とした第3相臨床試験と記載されていますが、実際のところどうなんでしょう。

数年前には、腎保護作用だけでなく心保護作用も注目されていました。

セララが腎臓:心臓=3:1の分布に対して、フィネレノンは腎臓:心臓=1:1に分布するようで、心血管に対する選択性が高く高カリウム血症の副作用発現が少ないという報告もあります。

どのような適応になってくるか分かりませんが、近いうちに承認申請されるのではないでしょうか。

エサキセレノンの発音に注意

以上、第一三共が新たに高血圧症の治療薬として承認申請したエサキセレノン、バイエル薬品が臨床試験中のフィネレノンについて簡単にまとめました。

エサキセレノンは高血圧の治療薬としてまず申請されましたが、どちらの薬も注目すべきは心保護作用や腎保護作用になってくると思います。

すでに発売されているセララとの違いに注目しながら、今後の動向を追っていこうと思います。

ちなみに化学好きな人はエサキ/セレノンとアクセントを付けたくなるところですが、エブレレノンやフィネレノンのことを考えるとエサキセ/レノンと発音するのが無難かなと思います(笑)