医薬品の在庫を絞る時はパレートの法則で効率化を!

2年に1度の薬価改定が、約3ヶ月後に近づいてきました。

1人の患者さんにしか出ていない薬は、そろそろ発注を考える時期ですね。

薬の在庫を絞る是非については議論のあるところですが、薬価改定の時には例外なく全ての薬局が在庫を絞るでしょう。

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特に今回の薬価改定は薬局側からすると非常に厳しく、薬価ベースで7.5%程度下がるとされています。

薬を薬価ベースで1000万円在庫していたとすると、何もしなくても75万円損するということです。

75万円あれば賞与もらえちゃいますよ(笑)

そんなわけで在庫を絞る必要があるのですが、いつもどうやって在庫を絞ってますか?

ただ闇雲に在庫を絞っても、ハッキリいって効率が悪いだけです。

欠品を起こしたり無駄に疲れたり。

そこで、いつも闇雲に在庫を絞って疲れていた人にぜひ知っておいてほしい法則があります。

それが『パレートの法則』です。

この法則を意識することで、今までよりも効率的に在庫を絞ることができます。

そんなわけで今回は、『パレートの法則』と効率的な在庫の絞り方です。

パレートの法則とは

パレートの法則とは、「物事に関して一部が全体に対して大きな影響力を持っていることが多い」という経験則です。

これだけだとイメージがわかないので、いくつか具体例を挙げてみます。

売上の8割は2割の顧客が生み出している

ビジネスにおいてよく使われるのは80:20の法則。売上の8割は2割の顧客が生み出しているというものです。

なので、全ての顧客に対してサービスを行うよりも、その2割の顧客に対して重きを置いてサービスを行った方が効果的と言われています。

失敗の8割は、全ての失敗のうちの2割が占めている

業務における失敗を10種類に分けてみると、2種類のミスが全体の8割を占めるということです。

薬局業務で考えれば、おそらくピッキングミスと入力ミスが全体の8割くらいではないでしょうか。

2割の薬が8割の在庫金額を占める

このように、物事には偏りやばらつきが存在し、決して平均的には存在していないという経験則です。

そして、このことは薬の在庫に関しても言えます。

もし薬局の在庫している薬が500種類で、在庫金額が1000万円だったとします。

そうすると、おそらく100種類の薬で在庫金額800万円くらいを占めているであろうというのがパレートの法則です。

薬の在庫を絞るときは在庫金額の大きな薬から

このことを踏まえて、薬価改定に向けて薬の在庫を効率的に絞ることを考えてみます。

正直なところ、1錠10円くらいの薬をどれだけ頑張って絞ろうと、そこまで在庫金額は抑えられません。

無駄とは言いませんが、ただでさえインフルエンザやら花粉症やらで忙しい年度末。

少しでも効率的に在庫金額を減らしたいですよね。

そこで、在庫を絞る時に意識するべきことはただ1つ。

在庫金額の大きい薬から絞っていく

これだけです。

これをすることで、在庫金額の上から2割程度を絞れば、全体の8割を絞れることになります。

これが、『パレートの法則』を意識した効率的な在庫の絞り方です。

この方法で在庫を絞って、もし時間に余裕があれば残りの薬も在庫を絞っていけば良いと思います。

在庫金額を絞ることは本質的ではない

さて、ここまで在庫金額を絞ることを目標に書いてきました。

なぜかというと、在庫を絞る目標が『在庫率70%』とか『在庫金額○○万円以下』とか、在庫金額ベースの目標が作られやすいからです。

トップダウンで指示がある場合、特にこのような指示になります。

このような在庫金額ベースの指示を達成するだけなら、上記の通り『パレートの法則』を意識した方法が効率的です。

でも、この在庫金額を絞るというのは本質的ではありません。

なぜなら、本来の目的は『薬価が下がる薬の在庫を絞ること』だからです。

すでに薬価の下がりきっている、例えばワーファリン1mgのような薬の在庫を必死に絞って在庫率70%を達成したからといって、本質的には意味が無いわけです。

薬価の下がる薬とは?

ということで、本来は薬価の下がる薬、特に下げ幅の大きい薬を集中的に絞る必要があるわけです。

しかし、どの薬がどのくらい薬価が下がるのか、それはまだ分かりません。

でも予想することはできます。

まずは『新しい薬』

新しい薬は薬価が高いですから、次の薬価改定で下がる場合が多いです。(新薬創出加算が付いている場合を除く)

そして次に『新しく後発医薬品の出た新薬創出加算の付いている先発医薬品』

これは以前にも記事にしていますが、新薬創出加算によって薬価が維持されていた先発医薬品は、後発医薬品が薬価収載されると新薬創出加算が付かなくなります。

そして、これまで新薬創出加算によって維持されていた分までいっきに薬価が下がります

なので、そういた薬に関しては在庫を絞る効果が大きいと言えます。

以前の記事>>薬価収載と新薬創出加算の意外な関係性

まとめ

以上、『パレートの法則』意識した効率的な在庫の絞り方。そして在庫を絞る本来の目的についての記事でした。

1年の中で1番忙しい時期を迎えていますが、無駄な損失を減らすためにも、少しずつ在庫を絞る計画を立て始めていただければと思います。

ちなみに、上場企業では財務諸表を良くみせるために在庫金額を絞る必要性もあります。

そういった薬局では、「薬価下がらない薬の在庫を絞ったって意味無いじゃん!」なんて思わず、素直に在庫金額を抑える努力をしましょう(笑)