ジェネリックメーカーの意外な悩み

順調に成長を続けてきたジェネリック医薬品の普及率ですが、ここにきて伸び悩みを見せています。

2017年半ばに70%を目標としていましたが、2017年6月の段階で65.1%。目標は達成できませんでした。

しかし厚生労働省は強気で、80%の達成を2020年の9月と定めました。

今後ますます、国を挙げてジェネリック医薬品の普及を後押ししていくことが予想されます。

そういった後押しもあり、自分はジェネリックメーカーがウハウハなんじゃないかと思っていました。

誰だってそう思いますよね。だってジェネリック医薬品の普及率が上がるってことはジェネリックメーカーの売上も増えるってことだから。

でも実は全然そんなことないようで、ジェネリックメーカーもM&Aが進んで、最終的には数社しか残らないんじゃないかと言われています。

その理由は、

生産が追い付かないから

というわけで今回は、その辺りのことについて、ジェネリック医薬品普及率のこれまでの変遷も踏まえながら記事にしてみようと思います。

ジェネリックメーカーに求められる安定供給

先発医薬品メーカーの進出もあり、ジェネリックメーカーはかなりの数まで増えました。

薬局はその中から、基本的には薬ごとに1社選んでジェネリック医薬品を採用するわけですが、その採用における大きな理由に「安定供給」があると思います。

これまでにも何度か、供給が止まってしまうことがありました。

その度に患者さんや薬局に迷惑がかかります。

どれだけ製剤工夫などを施していても、結局は安定した供給がないと意味がありません。

そのような理由から、ジェネリックメーカーには安定供給が強く求められています。

ジェネリック医薬品普及率の目標の変化

・2017年半ばに70%
・2020年9月に80%

という現在の目標ですが、実は初めからこの目標値だったわけではありません。

もともとは2013年に策定された「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」で、2017年度末までに60%という目標が掲げられていました。

それを念頭において、ジェネリックメーカーも生産を行ってきました。

それが、日本の医療費の高騰もあり、2015年6月末に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針)」の中で、

・2017年に70%以上
・2018年度から2020年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上

という目標が示されたのです。

言ってみれば、突然ハードルを上げられたような形です。

ジェネリックメーカーは「よっしゃ、ジェネリック医薬品が売れるぞ~!」と単純に喜ぶわけにはいきません。

パーセンテージが上がるということは、それだけ大量にジェネリック医薬品を生産しないといけないからです。

そうしなければ、安定供給を果たすことが出来ません

生産量を増やすのも簡単ではない

しかしながら、製造業で働いていないと実感しにくいことですが、生産を増やすのも簡単ではありません。

生産を増やすためには、生産する工場を建てる必要があります。

そのためにまずお金を借り、土地を買い、工場を作り、工場で働く人を雇い、研修を行い・・・などなど、膨大な時間とお金がかかります。

時間の面でいえば、工場を建てるのに何年もかかります

薬の製造だって、一から作るとなると何ヶ月もかかります。一晩で作れるようなものではありません(笑)

お金の面でいえば、もともと東日本大震災からの復興の影響で、工場の建設にかかる費用が値上がりしてます。(人手と重機が足りていない)

それに加え、2020年には東京オリンピックがあり、これから更に、建設費用は上がっていくそうです。

このような理由から、ジェネリックメーカーも相当なスピード感での設備投資を必要とされ、中小メーカーでは付いていけないのではないかと言われています。

販売価格の低下

さらに、大量のお金を必要としているにも関わらず、ジェネリック医薬品は売れども売れども利益が出なくなっています。

というのも、先発メーカー子会社によるAG参入で、ジェネリックメーカーは安さ争いを強いられているからです。

AGがシェアの50%を持っていってしまうため、残りの50%を巡ってジェネリックメーカーは熾烈な争いを繰り広げます。

ミカルディスのジェネリックどんな感じ?ただのAGでは終わらせなかった「DSEP」」でも書きましたが、薬価の30%を切るような価格で販売しているジェネリックメーカーもあります。

そんな価格では、いくら売っても利益が出ません。

設備投資に必要な費用を用意するのも一苦労です。

薬価の引き下げ

さらに、ジェネリック医薬品であろうとも薬価は容赦なく引き下げられます。

上記のように販売価格の安さ勝負をしてるものだから、次の薬価改定でいっきに引き下げです。

もう完全に悪循環ですね(笑)

まとめ

以上、

生産量を増やすのも簡単ではない

販売価格の低下

薬価の引き下げ

このような理由から、ジェネリックメーカーにも安定供給を維持するための悩みがあるようです。

勝手にウハウハだろうと思っていた自分が恥ずかしいです(笑)

税金を使って回っているから当たり前なのかもしれないですが、国の決定次第で医療業界は大きな影響を受けます

そういった方針決定に関わる人は、もっと将来のことまでしっかり考えて、責任を持って方針を決定していってほしいと思います。

 

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