アルツハイマー型認知症に伴う行動障害にブレクスピプラゾール?

大塚製薬は今月1日、ブレクスピプラゾール(レキサルティ)「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」を対象とした追加フェーズ3試験を実施することを発表しました。

ブレクスピプラゾールの「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」を対象としたフェーズ3試験は以前にも行われていて、その時は良好な結果が得られませんでした。

そこで今回、米国FDAと協議した結果、追加でフェーズ3試験を実施することになったようです。

実はこの「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」を対象とした試験は、大塚製薬が近年力をいれている分野であり、なおかつ、なかなか結果を出せない分野でもあります。

そのあたり、今回は記事にしてみようと思います。

ブレクスピプラゾールとは

ブレクスピプラゾールについては以前にも記事にしているのですが、米国で成人の大うつ病の補助療法と統合失調症の2つの適応症で承認され、レキサルティという名前で販売されている薬です。

今年の1月には日本で、統合失調症の適応で製造販売承認申請を済ませています。(現在承認待ち)

レキサルティ(ブレクスピプラゾール)の日本での発売はいつ?気になる副作用は?

2017.06.30

アルツハイマー型認知症に伴う行動障害とは

アルツハイマー型認知症の症状として、まず思い浮かぶのが記憶や判断力の低下ですよね。

・時間や場所、会話の相手の名前が分からなくなる

・お金の支払いが出来なくなる

・言葉が分からなくなり、会話が流暢でなくなる

このような症状を中核症状といいます。

一方、介護者を苦しませる症状としてBPSD(行動・心理症状)があります。

・夜になると眠れなくなる

・現実にないものを見たり聞いたりする(幻視・幻聴)

・徘徊

・暴言・暴力

この他にも様々な症状があるのですが、その中で徘徊や暴言・暴力のような行動を伴う症状行動障害といいます。

アルツハイマー型認知症の患者さんは結構な確率で行動障害が現れるため、介護者や介護施設入居への大きな負担・懸念となっているのが現状です。

大塚製薬の取り組み

この「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」に対して、大塚製薬はこれまでにもいくつか取り組みを行っています。

アリピプラゾール(エビリファイ)もフェーズ3試験

実は、ブレクスピプラゾールに先んじてアリピプラゾールも、2014年から「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」に対するフェーズ3試験を実施しています。(すでに試験中止)

ブレクスピプラゾール(レキサルティ)とアリピプラゾール(エビリファイ)の2つの関係性はご存知の方も多いかと思います。

なぜ試験中止に至ったかの事情は知らないのですが、大塚製薬が何年も前から「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」に対する薬を作ろうとしていたことが分かります。

米Avanir社を買収

同じく2014年に、大塚製薬は米Avanir社を約4200億円で買収しています。

米Avanir社は、認知症を始めとする神経疾患領域の開発・販売力を持つ会社です。

特に注目すべきは米Avanir社が開発中のAVP-786(重水素化デキストロメトルファンとキニジンの配合剤)です。

このAVP-786は以前から「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」を対象としており、実際に2015年からフェーズ3試験がスタートしています。

AVP-786は米国FDAからファストトラック(優先承認審査制度)の指定を受けており、そのことからも「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」に対する薬の出現が世界で待ち望まれていることが伺えます。

ブレクスピプラゾールのフェーズ3試験

冒頭でブレクスピプラゾールは以前にもフェーズ3試験を行っていて、その時は結果が良好ではなかったと書きました。

正確には、

よく分からなかった

というのが正しいかもしれません。

ブレクスピプラゾールはフェーズ3で2つの試験を行っています。

それぞれの試験で、主要評価項目であるCMAI(Cohen-Mansfield Agitation Inventory:29項目)と副次的評価項目であるCGI-S(Clinical Global Impressions-Severity Illness Scale:精神疾患の重症度を7段階で評価)を見ているのですが、

・1つめの試験では、CMAIはプラセボと比較して有意差がついたのですが、CGI-Sでは有意差がつきませんでした

・2つめの試験では反対に、CMAIはプラセボと比較して有意差がつかなかったのですが、CGI-Sでは有意差がつきました

なんでこうなったのか、よく分からないんです(笑)

画一的な治療が原因?

そもそも、この「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」というのはアルツハイマー型認知症の症状ではないんじゃないか、という話もあります。

本来アルツハイマー型認知症は患者それぞれに合ったケアをしなければいけないところを、画一的な治療やケアをしてしまうことで、その治療やケアが合わなかった人に行動障害が生じているのではないか、という考え方です。

もしそうだとしたら、フェーズ3の試験結果に一貫性が無いことも頷けます。

それくらい、薬での治療も含めてアルツハイマー型認知症の患者に必要とされるケアには個人差があるということだと思います。

まとめ

以上、ブレクスピプラゾール(レキサルティ)と「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」に関する記事でした。

大塚製薬が「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害」の治療薬を世に出すために鋭意努力中ということが分かっていただけたでしょうか(笑)

正直、結果が出るかどうかは微妙だと思います。

「行動障害」なんて一言で言っていますが、その中身は実に多種多様。

人によって現れる症状は全然違いますし、そこに法則性も感じません。

なので、例えフェーズ3試験が上手くいって承認に至ったとしても、何ともいえない薬になるんじゃないかと思っています(笑)

しかしこのタイプの薬が待ち望まれているのは確かですし、どうにか良い薬になることを期待していようと思います。

 

 

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