食品添加物と医薬品添加物の違い

意外と知られていないことなのですが、食品添加物医薬品添加物ではルールが結構違います。

昨今の医薬品業界では、ジェネリックの普及により添加物への関心が以前よりも増しています。

一方の食品業界でも、添加物に対して常に疑いの目が向けられ、以前よりも食品表示に関するルールが厳しくなっています。

食品添加物と医薬品添加物それぞれで使用できる添加物は異なっており、両方をしっかり理解するのはなかなかに難しい。

というわけで今回は、食品添加物と医薬品添加物の違いをまとめて自分自身の勉強にしたいと思います。

食品添加物の分類

まずは食品添加物から。

食品添加物は以下の4つに分類されます。

①指定添加物:安全性と有効性が確認され、国が使用を認めたもの(品目が決められている)

②既存添加物:我が国においてすでに使用され、長い食経験があるものについて、例外的に使用が認められている添加物(品目が決められている)

③天然香料:植物、動物を起源とし、着香の目的で使用されるもの

④一般飲食物添加物:通常、食品として用いられるが、食品添加物としても用いられるもの

合成添加物は全て指定添加物

①指定添加物は食品衛生法第10条に基づいて厚生労働大臣の指定を受けた添加物で、天然添加物と合成添加物の両方を含みます。

それ以外の②③④は、指定を受けていないものの古くから日本で使われている添加物で、全て天然添加物です。

天然香料と一般飲食品添加物はリスト化されていない

①指定添加物②既存添加物については品目がリスト化されていますが、③天然香料④一般飲食品添加物については例示があるだけで品目が指定されていません

というのも、③天然香料なんて無限といって良い程この世に存在しますし、④一般飲食品添加物も全ての飲食物に当てはまると言えるからです。

ポジティブリスト方式

日本では、原則として使用が認められる食品添加物(天然香料及び一般飲食品添加物以外)を個々に指定し、それ以外は使用を禁止するポジティブリスト方式を採用しています(1947年公布)。

この方式は世界で最初に日本が取り入れた制度で、現在ではほとんどの先進国で取り入れられています。

この指定が①指定添加物に当たります。

既存添加物とは

上記の通り日本ではポジティブリスト方式で食品添加物を規制していますが、以前は合成添加物に限った制度で天然添加物については全く規制がありませんでした。

そんな中、1995年に食品衛生法を改正して天然添加物も一緒にポジティブリスト方式で規制を開始するに当たり、指定を受けなかったものの以前から使用されているものを例外的に、経過措置として使用を認めリスト化しました

それが既存添加物です。

なので、既存添加物については食品衛生法には特に定義が無く、1995年の食品衛生法改正に伴う補足のようなかたちで指定されています。

実際に、すでに使われていない品目などは削除され、1995年当時よりも品目は減っています。

また、すでに3分の2程度は安全性の評価が完了しているため、数年後には全ての安全性の評価が完了して指定添加物に組み込まれ、既存添加物という括りが無くなる可能性が高いです。

原則使用した食品添加物全ての物質名を表示

食品添加物は、原則として使用した全ての物質名を表示しなくてはいけないとされています。

しかし意外と例外が多く、一括名表示が許可されていたりキャリーオーバーの表示免除が認められていたりと、改善を求められている部分も多いです。

一括名表示:「香料」のように個別の成分は分からない表示

キャリーオーバー:原材料の製造や加工において使用され、当該食品においては効果を発揮しないような少量しか含まれない添加物(例:せんべいに使用される醤油に含まれる保存料)

食品添加物公定書

指定添加物に指定されれば全て自由に使用できるかといえばそういうわけでもなく、「食品添加物公定書」というものが存在します。

これは食品添加物の含量や成分について定めたもので、この規格にあったものだけが使用できます。

では既存添加物はどうなのかというと、こういった成分規格がまだ決められていません。本来はあるべきなのですが、まだそこまでは進められていません。

そこで、国ではなく日本食品添加物協会が自主的に規格を定めて公表しています。現在、既存添加物のうち220種類ほどの規格を自主規定しているようです。

食品添加物まとめ

以上、食品添加物のまとめになります。

指定添加物に関しては、しっかり安全性が確かめられ、公定書によって成分規格が定められています。

一方の既存添加物に関しては、安全性は長年の使用経験から安全と考えられているもので、成分規格などの決まりは自主的なものです。

天然香料や一般飲食物添加物も、そこまで強い縛りは無い状態です。

医薬品添加物の定義

次に、医薬品添加物について見ていきます。

日本薬学会によって、医薬品添加物は以下の通りに定義されています。

「製剤に含まれる有効成分以外の物質。製剤化を容易にする、品質の安定化を図る、有用性を高めるなどの目的で、ほとんど全ての医薬品に添加されている。用途により、賦形剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、着香剤、溶解補助剤、着色剤、粘調剤、などと呼ばれる。これらは製剤の投与量において薬理作用を示さず、無害でなくてはならないが、アレルギーなどの有害反応を引き起こすことがあるので、注意を要する。」

当たり前ですが、薬理作用は示しません。

平成16年4月から全成分表示

以前は添付文書に添加物を全て記載する必要はありませんでした。

しかし平成13年4月から化粧品が全成分表示を義務づけられたことを受け、その1年後の平成14年4月より日本製薬団体連合会による医薬品添加物表示の自主申し合わせが開始。

その2年後の平成16年4月より、原則として全成分が添付文書に記載されるようになりました。

特許を持つ添加物に関しては「その他成分」などのように記載されるのですが、それ以外は基本的に、添付文書を見れば含有されている添加物の全成分が分かるはずです。

医薬品添加物事典に収載

前回の記事の通り、食品添加物はリスト化されているものとリスト化されていないものがあるのですが、医薬品添加物については、基本的に「医薬品添加物事典」に収載されているものでなくてはなりません

「医薬品添加物事典」には個別の添加物ごとに投与経路と最大使用量が記載されており、その範囲内であれば特別なデータを提出することなく使用できます。

事典に収載されていない添加物や最大使用量を超えて使用する場合には、海外における使用状況であったり、安全性や毒性に関する試験のデータを事前に厚生労働省に提出し承認を受ける必要があります。

こうして、日本の医薬品に使用できる添加物を制限し、添加物の安全性を担保しています。

2016年に改訂版が発売されましたが、1394品目が収載されているとのことです。

医薬品添加物規格

食品添加物に「食品添加物公定書」があるように、医薬品添加物にも「医薬品添加物規格」というものが存在します。

これにより、医薬品添加物も含量や成分などの規格が定められ、医薬品添加物の品質を担保しています。

医薬品添加物まとめ

以上、医薬品添加物のまとめでした。

上記の通り医薬品添加物は1394品目と結構多いのですが、それでも食品添加物と比べるとまだ全然少ないです。

食品添加物の場合、天然香料や一般飲食品添加物については例示しかされていませんが、医薬品添加物はすべてリスト化されているのでより安心できると思います。

食品添加物と医薬品添加物の違い

ということで最後に食品添加物と医薬品添加物の違いを見てみると、

医薬品添加物は完全リスト化されているが、食品添加物は一部のみリスト化

医薬品添加物は原則全て表示だが、食品添加物は例外的に表示を免除されているものが多い

この2点が大きな違いかなと思います。

リスト化されていなかったり表示されていないからといって危険なわけではないですが、安全を確認してリスト化し表示するというのがどの業界においても一般的となりつつあります。

情報の公開と透明性という意味で、添加物においても同様な流れが今後も続いていくと思われます。

 

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