【解説】売上や利益など、薬局の収益構造をシンプルに紹介!

今年に入ってから、調剤薬局のM&A案件がかなり増えています。

それくらい次の報酬改定は厳しいことが予想されていて、その前に手放してしまおうと考える経営者が多いのでしょう。

そんな調剤薬局ですが、実際にどのくらいの売上があって、どのくらいの利益があるか知ってますか?

薬局の数字に興味が無いと、その辺りを全く知らない人も多いかと思います。

今回、報酬改定に向けた議論がスタートしたこともあって数字に興味を持ち始めた人もいるのではないでしょうか。

そこで、薬局の収益の仕組みを簡単に紹介してみようと思います。

かなりシンプルな内容なので、もともと詳しい方には何の勉強にもならないと思うのでスルーしてください(笑)

薬局の売上はほぼ全て調剤報酬

調剤報酬を売上と言うのはあまり好きではないのですが、ここでは分かりやすく売上という言葉を使おうと思います。

薬局の売上は、ほぼ全て調剤報酬に寄ります。

OTC等の売上ももちろんありますが、大部分は調剤報酬が占めます。

調剤報酬

ちなみに調剤報酬とは、処方箋を受け付けて患者さんに薬を渡したことで得られる報酬です。

患者さんから1割~3割の自己負担金を頂きますが、残りの7割~9割、あるいは10割を保険組合から貰います。それらを合わせて調剤報酬と言います。

処方箋1枚10000円

処方箋1枚当たりの売上を処方箋単価なんて言いますが、ここでは処方箋単価を仮に10000円としておきます。

というのも、当然ですがかなりの幅があるからです。

何科の処方箋か

何日分処方しているか

などによって大きく変わってきます。処方箋を受け付ける薬局によっても少し変わります。

ただ、おそらくですが平均すると10000円弱くらいになるんじゃないかと思います。

取り合えず今回は10000円にしておきます。きりが良くて説明しやすいので(笑)

技術料と薬剤料

次に売上の内訳を見るのですが、その前に技術料薬剤料について。

薬剤料は薬そのものの料金になります。

薬は国によって薬価がそれぞれ決められていて、もしロキソニン錠60mg(薬価:15.9)が100錠処方された場合、薬剤料は1590円になります(実際には点数計算をするので若干変わってきますが、考え方としては同じです)

一方の技術料。調剤報酬には、基本料や調剤料、薬歴管理指導料のような加算が薬剤料以外にも含まれています。それらをまとめて技術料と言います。

つまり、売上(調剤報酬)=技術料+薬剤料となります。

技術料25%、薬剤料75%

処方箋単価10000円の内訳を見てみると、だいたい技術料が2500円、薬剤料が7500円になります。これは大手チェーンの決算資料を見ても、だいたいこれ位の比率になっています。

もちろん全ての処方箋が、というわけではなく、眼科の処方箋で目薬1本だったりすると薬剤料はかなり低くなります

逆に内科で処方日数が90日とかだと、処方箋単価のほとんどが薬剤料になります。

それらの処方箋を平均すると、技術料25%、薬剤料75%くらいの比率に落ち着きます。

薬価差益は10%程度

次に薬価差益についてです。

これは簡単に言えば売値と仕入れ値の差額

ロキソニン100錠の薬剤料が1590円なわけですが、これを1000円で仕入れていれば590円が利益になります。小売業ではこれが粗利になるわけですが、調剤薬局においてはこれを薬価差益と言います。

前述の通り売値は薬価として国が決めてしまうので、この薬価差益は仕入れ値によって決まります

大手ほどスケールメリットで安く仕入れることが可能になってくるのですが、だいたい消費税込みで薬価の90%程度の金額で薬局は薬を仕入れています。

つまり、薬剤料の10%程度が薬価差益となります。

ここは工夫次第でもう少し利益を大きくできるのですが、あまり細かいところまで見てしまうと難しくなってしまうので、今回は10%ということにしておきます。

ちなみにジェネリックの方が薬価差益のパーセンテージは大きいです。

薬剤料だけでは利益が出ない

薬価差益10%なんて言いますが、実際の現場だと、実は薬価差益で利益なんてほとんど出ません

処方が出なくなって期限切れ

調剤に伴うミスやロス

このような事情で、結構な金額が損失となるからです。

つまり、売上の75%を占める薬剤料では、実際にはほぼ利益が出ないと言えます。(マイナスになることもあります)

処方箋1枚で3250円の利益

薬剤料ではほぼ利益が出ないことを述べましたが、ここでは薬価差益10%ということで話を進めます。

処方箋1枚10000円のうち7500円が薬剤料なので、そのうち10%の750円が薬価差益で利益となります。

さらに、技術料の2500円は仕入れ等が無いので丸々利益です。

よって、処方箋1枚10000円とすると、750円+2500円で3250円が処方箋1枚当たりの利益となります。32.5%ですね。

最終的な利益は1500円くらい

さて、処方箋を受け付けることによって1枚当たり3250円が利益として手元に残ります。(実際には薬の期限切れなどでもっと少ないです)

ここから、薬局で働く事務さんや薬剤師の給与を払い、薬局の設備の購入をし、店舗が賃貸であれば賃貸料を支払います。

この辺もまた店舗や会社によって差が大きいのですが、チェーンの決算書などを見てみると最終的にはだいたい15%程度が利益として残るようです。

つまり、3250円の中から1750円を薬局を運営するための費用として使うことになります。

そして、処方箋1枚あたりの利益が1500円程度となります。

これが、職員の給与なども含めたうえでの薬局の最終的な利益となります。

ですので、例えば月に1000枚処方箋を受け付ける薬局であれば、月の売上が1000万円となり、利益は150万円となります。

調剤薬局で働いている人は、ぜひ一度自分の店舗の数字を見てみてください。一般的な薬局であれば、おそらく同じような比率になっていると思います。

販管費は売上の10%程度

ちなみに、チェーン薬局であればこの1500円からさらに販管費が引かれます

販管費とは、簡単に言えば本社の維持費です。本社の営業、開発、経理などの社員は直接売上を上げているわけではありません。

そういう人達の給与や経費も薬局の利益から支払われます。もちろん社長の給与も。

関連記事>>>「配賦」って何?本社の経費について考えたことありますか?

それが大体売上の10%程度となります。

なので、処方箋1枚で考えれば1000円程度。

つまり、1500円から更に1000円が販管費として引かれ、最後に残るのは500円となります。パーセンテージにすると5%。

調剤薬局の収益構造は、だいたいこのような仕組みとなっています。

まとめ

以上、売上や利益など、薬局の収益構造を簡単に紹介してみました。

調剤薬局1店舗で見るとズレてくるかもしれないですが、多くの店舗を平均するとだいたいこの比率に落ち着くと思います。

というわけで、次の記事で大手チェーンの決算資料を見ながら今回の記事と比較してみようと思います。

記事の途中でも書きましたが、もし可能であれば自分の薬局の数字も見てみてください。

一般的な数字と比較して自分の薬局はどこがどう違うのか知ることも大切です。

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