お薬手帳を見て、その人の生活まで想像する

お薬手帳の重要性が叫ばれる昨今、薬局にも手帳を持参してくれる患者さんが増えました。

ただ、せっかく患者さんが手帳を持って来てくれても、十分に活かせていない薬剤師が多いような気がします。

薬しか見ていないんです。その先まで頭がいかないんです。

薬ではなく、薬を飲む患者さんを見る

薬剤師なんていう名前で仕事してますが、薬を正しく飲んでもらうことが目的ではありません。

目的は患者さんが健康的な生活を送ること(QOLを高めること)であって、薬を正しく飲むことはそのための手段でしかありません。

このことは、薬剤師というか医療人として働いていくうえで非常に重要なことだと思うのですが、意外にも勘違いしてしまっている人が多いような気がします。

お薬手帳で何を見ているか

先日、このことで後輩薬剤師(2年目)にアドバイスした話です。

患者さんは糖尿病で、最近になってようやくお薬手帳を薬局に持って来てくれるようになりました。

もしその患者さんに、薬の情報に加えて食生活のアドバイスもするとしたら、

カロリーを摂りすぎないように気をつけてもらう。

適度な運動を心がけてもらう。

この辺りでしょうか。

何をアドバイスするかは人それぞれですし、糖尿病という情報からのアドバイスであれば間違っていません。

お薬手帳でロキソニンの併用から考えること

しかし、その患者さんのお薬手帳を見ると、他病院の整形外科でロキソニンを処方してもらっていることが分かりました。

この時、薬剤師としてどのようなことを考えるでしょうか。

まず薬剤師として、ロキソニンと糖尿病の薬の併用が問題ないかを考えると思います。

しかしその後、併用が問題無かったからといって、先ほどと同じようなアドバイスをしてしまうようでは、患者さんのことを何も考えられていません。

薬しか見えていません

何故ロキソニンを飲んでいるのか

患者さんは何故整形外科でロキソニンを貰っているのでしょうか。

もしかしたら、腰や膝を痛めているのかもしれません。

もしかしたら、糖尿病だからといって運動を頑張りすぎて痛めたのかもしれません。

もしそうだとしたら、そんな患者さんに運動を勧めることは薬剤師として絶対にしてはいけないことです。

無理をして腰や膝の痛みが悪化し、下手したら歩行にも支障が出てしまうかもしれません。

そうなってしまっては、運動が出来なくなって糖尿病がさらに悪化してしまう可能性まであります。

どれだけ患者さんのことを考えられるか

このように、お薬手帳の薬から患者さんの普段の生活をどれだけ想像できるか。この能力は薬剤師として働いていくうえで非常に大切な能力になってくると思います。

もちろん、その想像が正しいかを確認することも忘れてはいけません。

結果的にこの患者さんは、糖尿病ということで毎日10km以上もウォーキングをしていたそうです。その結果として膝を痛めてしまったとのこと。

痛みが治まるまでは運動量を減らすように伝え、完治後はプールで運動したりウォーキングしたりする方法もあることを教えました。プールでの運動は浮力が関節への負担を和らげてくれますからね。

まとめ

今回はお薬手帳の薬から患者さんの生活を想像するという内容でしたが、それ以外にも様々なところから患者さんの生活を想像することが出来ます。

今回の患者さんだって、手帳を見なくても歩き方の違和感から、どこか痛めていることを想像することも出来たかもしれません。

薬剤師はどうしても薬に目がいきがちですが、一番の目的は患者さんの生活であって、薬はあくまでも手段でしかないということを忘れないようにし、薬以外の色んな事にも興味を持って勉強していくべきだと思います。

すごく基本的なことですが、基本的な事こそ忘れがちなので記事にしてみました。

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