今後同じ疑義照会は不要!と言われたらどうする?

薬剤師として働いていて困るのが、

「今後同じような疑義照会は不要です。分かっていて処方してるので!」

と医師に言われてしまうこと。同じような経験をしたことがある人も多いのはないでしょうか。

もちろん、薬剤師法第24条によって疑義照会してからでないと調剤できないとされているので、その都度疑義照会しなくてはいけません。

しかし、門前病院の医師にそこまでハッキリ言われてしまうと・・・と思ってしまう気持ちも分かります。

そして確かに、何度も疑義照会するのがバカみたいな内容もあるのは事実。

ただそこを適当にしてしまうと、薬剤師法以外に思ってもいないところから罰を受ける可能性がありますので、今回記事にしようと思います。

くだらない疑義照会

薬剤師でない人にぜひ知って貰いたいのが、薬剤師は法律や省令によって行動にかなり厳しい制限を受けているということです。

薬局にも関係する法律・省令・通達の違い。拘束力はどの程度?

2017.07.27

具体例

例えばこちら。

アレロック錠5mg 2錠分2 朝夕食後

こんな処方箋を受け付けたとします。アレロックは一般的な抗アレルギー薬で、花粉症などによく処方されます。

アレロックを朝食後と夕食後に1錠ずつ飲む。

何の間違いも無いと思いますよね?

でもこれ、疑義照会が必要になります。

なぜかというと、添付文書に

通常、成人には1回オロパタジン塩酸塩として5mgを朝及び就寝前の1日2回経口投与する。

このように記載されているからです。

夕食後なのか就寝前なのか・・・どっちでも良いように思えるかもしれませんが、これをきちんと確認していないと後から個別指導などでチクチク言われることになります。

また、根拠としては薬剤師法第24条にあります。

(処方せん中の疑義)
第24条 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。

もちろん、健全な事業の運営のためにこのような決まりがあるのは分かるのですが、もう少し融通を利かせてくれても良いんじゃないの?と思うこともあります。

今後同じ疑義照会は不要!と言われたら

さて本題に戻りますが、このようなバカみたいな疑義照会を仕方なく繰り返していて、医師から

「今後同じような疑義照会は不要です。分かっていて処方してるので!」

と言われてしまったらどうしますか?

前述の通り、本当に正しいのは

それでも何度も疑義照会を続ける

です。

だって、医師が処方箋の書き方を変えてくれれば良いだけですからね(笑)

でも医師によっては変えてくれない場合があります。頑固なのかパソコンが苦手なのか・・・

そうなると、本当はいけないのですが薬剤師側が折れて、その後疑義照会をしなくなる場合があります。

でもこれ、本当に危険です。

なぜなら、以前にそのような事例から裁判になり、薬剤師法だけでなく民法の共同不法行為ならびに債務不履行と解釈された判例があるからです。

共同不法行為と債務不履行

債務不履行

債務不履行は納得ですよね。

以前に調剤契約について紹介しましたが、処方箋を受け付けた時点で患者と薬局は調剤する契約を結んだこととなります。

契約調剤と調剤契約の違い

2017.10.25

この契約の中に、当然ですが疑義照会をすることも含まれています。

なので、その義務を怠ったとして債務不履行になります。

共同不法行為

共同不法行為についてはあまり聞いたことが無いかと思いますが、内容はいたって簡単、その名前の通りです。

(共同不法行為者の責任)
第719条
1 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2 行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

つまり、医師と薬剤師が共同で疑義照会に関する法を犯して他人に損害を与えたという解釈になります。

「だって医師が不要って言うから・・・」という気持ちも分からないでもないですが、実際に裁判で共同不法行為の責任が問われているわけです。

薬剤師という国家資格を有する者として、責任をもって疑義照会を行いましょう。

まとめ

以上、不要と言われたからと言って疑義照会を行わなかった場合にどのような責任が問われるかの紹介でした。

医師に言われてしまうと、なかなか疑義照会しにくい気持ちも分からないでもないですが、薬剤師法だけなく民法によっても責任を問われることとなってしまいます。

そのことを知って、少しでも薬剤師としての責任をもって

「薬剤師と医師は対等なんだ」

という気持ちで疑義照会してほしいと思います。

それが、医薬分業の意義でもありますからね。

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