契約調剤と調剤契約の違い

突然ですが、契約調剤と調剤契約の違いって分かりますか?笑

ただ言葉の並び順の違いのように見えますが、実は全然違う場面でそれぞれ使われています。そして、この2つの違いを知ることは、日本の保険調剤の仕組みを詳しく理解する良い手段となります。

そんな訳で今回は、契約調剤と調剤契約の違いについて、まとめてみようと思います。

契約調剤は保険者との契約

まず初めに契約調剤についてですが、薬局は保険者と患者に対してそれぞれ契約を結んでいます。

そのうち、保険者との契約に関する場面で登場する言葉が契約調剤です。

薬局や薬剤師は、関連法規や法令を遵守するという公法上の契約の下に、保険薬局の指定や保険薬剤師の登録を受けます。

そして、その契約の下に行った調剤という行為を契約調剤といい、それに対して保険者から調剤報酬を受け取ります。

この調剤という行為も、普通に働いているとなかなかイメージしにくいですが、正確には保険者による患者への療養の給付(現物給付)の一部を薬局が代行しているという形になります。

国民健康保険法第36条、健康保険法第63条
(療養の給付)保険者は、被保険者の疾病及び負傷に関しては、次の各号に掲げる療養の給付を行う。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

このように調剤はあくまで健康保険による給付の一部であって、決して薬局が調剤を商売として行っているわけではないという認識が重要です。そのことを忘れてしまうと、利益の追求に走るなど健全な保険事業から逸脱していまいます。

保険調剤に薬担規則などのルールがあるのも、この健全な保険事業からの逸脱を防ぐためです。そしてそのルールを破ってしまうと、保険薬局の指定や保険薬剤師の登録が取り消されることとなります。

調剤契約は患者との契約

次に調剤契約ですが、これは保険薬局と患者との契約です。

調剤契約は、薬局と患者との間に契約書が存在するわけではありません。

しかし、患者が処方箋を提出し、保険薬局が受け取ると、それによって患者はその薬局から調剤という療養の給付を受ける契約を結んだ、ということになります。

そのため、例えば調剤過誤や調剤事故はこの契約を侵す行為となり、債務不履行や業務上過失傷害などに問われることとなります。

また、患者と調剤契約を結ぶのは薬局開設者です。現場の薬剤師ではありません。現場の薬剤師はあくまでも、薬局の開設者に代わって調剤を行っている立場です。

そのため、薬局開設者は薬局の管理者を選ばなければいけないですし、その管理薬剤師は薬局開設者に必要な意見を述べ、薬局開設者はその意見を尊重しなければならないと関連法規で定められているわけです。

逆にいえば、薬局に改善すべき点があるにも関わらず開設者に何も意見せず、それによって調剤事故が起こった場合は管理薬剤師の責任が大きくなり、意見したにも関わらず開設者が何も対策を施していなかった場合には開設者の責任が大きくなるわけです。

まとめ

このように契約調剤と調剤契約は、言葉は似ていますが使われる場面が全く異なります。

契約調剤は、保険者との契約に基づいて行われる調剤行為

調剤契約は、処方箋の応需によって結ばれる薬局と患者との契約

そして、保険薬局の業務内容はこの2つの契約を中心として回っていることが分かるかと思います。

なんとなくですが、最近では調剤が療養の給付の一部だという認識が薄くなっている気がします。

そのことを改めて思い出し、国民の健康維持を担っていく立場として調剤薬局はどのような形が現代の社会に望ましいのか、考え直す時期なんじゃないかと思います。

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