薬代の支払いが猶予・免除となる場合がある

薬局で働いていて困るのが、患者さんが薬代を払ってくれない時ですよね。

一時的に払ってくれないだけなら良いのですが、連絡が付かなくなったり、連絡がついても請求したら逆ギレされた、なんてことも。

かといって請求を諦めたら、それはそれで「費用請求の減免行為」として薬担規則に違反しているとされることもあります。

「じゃあどうすれば良いんだよ!払ってくれないんだから仕方ないだろ!!」

って思っちゃいますよね(笑)

ただ、薬代を払えない患者さんにも色々事情があります。その事情によっては、実は薬代が猶予されたり免除されたりすることがあります

あまり知られていないことですので、今回はその辺りを記事にしようと思います。

減免行為は禁止

今となっては当たり前の話ですが、薬局の減免行為は基本的に禁止されています。

減免行為を認めてしまうと、安くして集客を図ってしまい、健全な保険事業が行われなくなってしまうからです。

ただ、安くして集客を図るような明白な減免行為はありませんでしたが、

門前病院の職員の薬代を無料にする

親族などある患者さんの薬代を無料にする

このようなバレにくい減免行為は結構行われていました。

最近ではチェックが厳しくなり、そのような減免行為によって保険薬局や保険薬剤師の指定が取消になる事例も増えています。

ルールはルールですから、このような傾向は良いことだと思います。

減免行為禁止の根拠

減免行為を禁止とする根拠ですが、薬担規則に以下のようなことが明記されました。

 

薬担規則
(経済上の利益の提供による誘引の禁止)
第二条の三の二 保険薬局は、患者に対して、第四条の規定により受領する費用の額に応じて当該保険薬局における商品の購入に係る対価の額の値引きをすることその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、当該患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない。(平成 24 年 10 月 1 日施行)

 

またそれ以前から、薬担規則には以下のような記載がありました。

(健康保険事業の健全な運営の確保)
第二条の三 2 保険薬局は、その担当する療養の給付に関し、健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならない。

(健康保険事業の健全な運営の確保)
第九条の二 保険薬剤師は、調剤に当たつては、健康保険事業の健全な運営を損なう行為を行うことのないよう努めなければならない。

つまりは、薬局の利益に惑わされず健全な運営を心がけましょうっていうことですね。

薬代が猶予・免除となる場合

このように減免行為は明確に禁止されているわけですが、そんな中でも薬代の支払いが猶予、あるいは免除となる場合があります。

それが、

震災などの影響で重大な損害を受けた場合

干ばつや冷害による農作物の不作、不漁で収入が減少した場合

事業の廃止や失業によって収入が激減した場合

主にこの3つの場合です。

これは健康保険法及び国民健康保険法によって定められていて(⇒一部負担金に関する資料)、特に有用だったのが東日本大震災の時です。

当時福島県に住んでいた人たちはしばらくの間、医療費が免除されていました。その根拠が、健康保険法及び国民健康保険法にあったわけです。

猶予・免除の条件は自治体によって異なる

困ったときに思い出してほしい薬代の猶予・免除ですが、その条件は自治体によって若干の差があります。

震災などの影響で重大な損害を受けた場合」というのは東日本大震災の実績がありますが、「干ばつや冷害による農作物の不作、不漁で収入が減少した場合」に関しては実例を聞いたことがありません。

事業の廃止や失業によって収入が激減した場合」については、収入が分かるものなどいくつか提出書類があります。

どのくらいの収入減少で対象になるかは自治体によって異なるので、気になる方は自治体の窓口や病院のソーシャルワーカーに確認してみても良いかもしれません。

まとめ

以上、薬代の支払いが猶予・免除となる場合についてまとめてみました。

薬代としていますが、もちろん病院での支払いについても同様に猶予・免除となります。

高齢になるとほとんどの方が何かしらの薬を飲んでおり、しかも多くの場合にはずっと飲み続けます。ずっと飲み続けていれば、その間に震災があったり会社が倒産したり、色んなことが起こる可能性があります。

そんな時にこの支払の猶予・免除という仕組みが利用できれば、非常に助かると思います。

本当に大変な時には、我慢せずに気軽に薬剤師や病院のソーシャルワーカーや自治体の窓口に相談してみましょう

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