調剤の一部を他薬局にお願いするのは違法?

ちょうど昨年の今頃でしょうか。

クオール薬局の調剤専用拠点が話題となりました。⇒クオール、在宅患者の処方薬を調剤専用拠点に集約、ヤマト宅配、薬剤師の負担軽減。(日本経済新聞2016/10/24より)

新聞には書いてありませんが、この調剤専用拠点というのはクオール薬局田町店のことです。

そして、これがクオール薬局の発表。⇒QOL サポート クオール薬局田町店について

この2つの発表では異なる部分があって、それは処方箋を受け付ける薬局はどこなのかということ。

・日経新聞:他薬局で処方箋受付→調剤だけ田町店

・クオール薬局の発表:施設調剤のみ(処方箋は田町店で受付)→もちろん田町店で調剤

ここで気になるのが、処方箋を受け付けた薬局と調剤する薬局が異なるのは問題があるのかということ。その辺りのことについて今回は記事にしてみようと思います。

忙しい時に他薬局に調剤の一部をお願いする

調剤専用拠点と言うと大げさに聞こえますが、例えば薬局が忙しく過ぎて回らない時に、近隣の系列薬局に一包化をお願いする

こういった話は何度か聞いたことがあります。そしてこれは、日経新聞が報道した形の調剤専用拠点とやっていることは同じなわけです。

もしかしたらこの記事を読んでくれている人の中にも、系列薬局に調剤の一部をお願いしている人がいるかもしれません。じゃあ、その行為が問題なのかどうか気になるところですよね。

 他薬局での調剤は違法

結論から言ってしまえば、調剤の一部を他薬局で行うことは違法です。

これは薬機法に根拠があります。

(薬局における調剤)第11条の11
薬局開設者は、調剤の求めがあつた場合には、その薬局で調剤に従事する薬剤師にその薬局で調剤させなければならない。ただし、正当な理由がある場合には、この限りでない。

当然過ぎてあまり意識してない人が多いと思いますが、きちんと法律的な根拠があるわけです。

なので、クオールは慌てて日経新聞の記事と異なる内容(薬を用意する行為のみ他薬局で行うわけではないということ)を会社として発表したのだと思います。

 記載されたのは平成24年の薬事法改正

この、違法の根拠が薬機法に記載されているということを知らない人が意外といます。

それは何故かと言えば、きちんと記載されたのが平成24年の薬事法改正においてだからです。

それまでは、言ってみたらグレーのような状況で明記されてはいませんでした。それが、平成24年の薬事法改正でついに明記されたわけですが、そのキッカケとなったのが無菌調剤室の必要性です。

無菌調剤室のみ例外的に可能

平成24年の薬事法改正における大きな変更点は、無菌製剤処理が必要な薬剤を含む処方箋を受け付けた薬局に無菌調剤室が無かった場合に、他の薬局の無菌調剤室を利用することが可能になった点です。

ちょうどこの頃、在宅の件数が増えて無菌製剤処理を行える無菌調剤室の需要が高まっている時でした。ただ高額な設備なため簡単に全ての薬局に設置するわけにもいかず、このように他薬局の無菌調剤室を利用可能とすることとなりました。

その時に、なし崩し的にそれ以外の調剤も他薬局で行われることが無いよう、第11条の11において「その薬局で」という文言が追記されました。

「その薬局で」という文言があるのと無いのとでは、文章の意味が大きく変わってくることが分かるかと思います。

無菌製剤処理が必要な薬剤の調剤のみ

ちなみに、無菌製剤処理が必要な薬剤を含む処方箋を受け付けて他薬局の無菌調剤室を使用させてもらう場合、無菌製剤処理に必要な機材や器具以外は利用できないとされています。

つまり、ついでに一包化などの調剤も他薬局で行うことは出来ないということです。当たり前ですが(笑)

調剤専用拠点の可能性

というわけで、現在のところは調剤の一部を他薬局で行うことは違法となっています。

しかし、じゃあ今後もずっとそうかと言われると、そんなことは無い気がします。

先日の経済産業省のグレーゾーン解消制度で「後からの薬郵送サービス」が問題ないとされたことからも分かるように、医薬品の供給に関して国は利便性を第一とする方向性が伺えます。

この「後から薬郵送サービス」に、調剤の一部を他薬局で行う「調剤専用拠点」が加われば「調剤工場」の完成です。厚生労働省は反対するでしょうが。

個人的には、手厚いサービスを売りにする薬局と利便性を追究した薬局が共存し、患者さんが選択可能となる状況が良いと思っています。ただ、なかなかそう上手くはいかないだろうなとも思っています。

まとめ

以上、他薬局での調剤と今後の可能性について書きました。

今のところ、調剤の一部を他薬局で行うことは違法

今後いつかは薬事法改正等で違法でなくなると考えている

じゃあ、いつ違法じゃなくなるのか。そんなことは全然分かりません(笑)

ただ、おそらくは米国の大企業あたりがプレッシャーをかけてくるんじゃないかな、とは思っています。

そして、そうなった時には同時にテクニシャン制度が解禁されるのではないかと思います。それくらい、薬機法における第11条の7から始まる(薬局における調剤)に関する内容は、現在の薬剤師の業務内容を支える重要な内容なわけです。

その辺り、今後はどのような扱いを受けていくのか、継続して注目していこうと思います。

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