薬の変色が問題だと思う2つの理由

以前、職場の薬剤師と話していたときに「薬の変色」の話になりました。

薬を直射日光の当たる場所に置いておいたり、気温が高くなる場所、湿度の高い場所に置いておくと「薬が変色」することがあります。

ただ、「薬が変色」しても添加物が変化しているだけで有効成分そのものには変化がなく効き目にも影響がでない場合が多いです。

それなら、「薬が変色」しても効き目には影響がないことを、投薬時に説明したり薬情に書いておけばそのまま服用してもらって良いんじゃないか、という話になりました。

でも自分の考えはちょっと違って、変色する可能性がある薬であれば遮光袋にいれてあげたり乾燥剤を入れてあげたり、出来る限り変色しないような工夫をするべきだと思うんです(コーティング等を工夫して変色しにくい薬も増えています)。

今回は、自分がそう思う2つの理由を記事にしてみようと思います。

患者さんの立場になって考える

まず1つ目の理由ですが、確かに変色したからといって薬の効果に問題があるかというと、多くは問題が無いと思います。

でも、患者さんの立場になって考えてみてください。

色が変わってしまってる薬、飲みたいですか?

たとえ投薬時に問題無いと説明があったり、薬情に問題無いと書かれてあっても、完全に安心して飲むことが出来るのでしょうか。

自分は、出来ないと思います。

全員がそうとは言わないですが、少しでも不安に思う人がいるようであれば、不安にならないように出来る限りのことはしてあげたいです。

ユベラ軟膏の変色

変色といって一番に思いつくのがユベラ軟膏です。

ユベラ軟膏って本当にすぐ変色するんですよね。冷所保存が必要な医薬品ですが、正しく冷所保存していてもある程度時間が経つと変色します。なんじゃそりゃって話ですよね(笑)

まあ正確に言えば、室温で保存していると3ヶ月でビタミンAの含量が90%以下まで低下します。一方、冷所保存していても変色はしますが、これはビタミンの含量が低下したわけではなく添加物が酸化されて変色しているだけです。

で、何が言いたいかというと、変色したユベラ軟膏は大丈夫と言われても何となく塗りたくないよねって話です。特に顔なんかには。まあ個人的な感情です(笑)

尺度の問題

次に2つ目ですが、変色といっても一律ではなく様々な変色具合がありますよね。

白い薬が薄っすら黄色くなることも変色だし、明らかに黄色や赤色になることも変色です(滅多に無いと思いますが)。さすがにハッキリと色が変わっていたら、有効成分そのものには変化がなくても添加物で変化が起こっていますよね。

それを飲んでも大丈夫と言ってしまって良いのか。

添加物の変化でアレルギーを起こしてしまっては大変なことです。

問題は、一度薬を渡してしまうと、後はその変色の具合が患者さんの自己判断になってしまうということです。薬を持参して飲んでも大丈夫か聞いてくれればまだ良いのですが、多くの患者さんはそこまでしてくれません。こちらで確認したり調べたりが出来なくなるのです。

そういった状況で、「変色しても大丈夫」と言ってしまうのはあまりに無責任な気がします。

なので、安易に「変色しても大丈夫」とは言わずに、可能な限り変色しないような努力はするべきだと考えています。

納豆の消費期限

尺度のことを書いていて思い出したのが、納豆の賞味期限です。

納豆は発酵食品で元々出荷までに時間が経っているので、賞味期限が過ぎてもある程度までは美味しく食べられるという話は聞いたことがあるかと思います。それも厳密には間違っているのですが、そこは置いておきます(笑)

で、ある程度なら大丈夫と言われても、ある程度っていうのがどのくらいなのか分からないんですよね。

それで結局、「そろそろヤバイかな~」とか「なんとなくアンモニア臭がするかな~」とか、そういう感覚的な理由でもう食べられないという判断をしてしまうわけです。

それと同じで、「多少の変色は大丈夫ですよ~」なんて下手に伝えてしまうと、患者さんが感覚的に「まだ大丈夫かな~」といつまでも飲み続けてしまう可能性があります。

このような感覚的な判断を、薬でもされてしまうのって怖くないですか?

まとめ

以上、薬の変色が問題だと思う2つの理由を挙げてみました。

・大丈夫と言われても、不安に思う患者さんもいる。

・結局は患者さんの感覚的な判断に任せることになってしまう。

今回は薬の変色の話ですが、もっと根本的な話として、患者さんの立場にたって物事を考えることはすごく重要だと思います。

論理的に考えれば多少の変色が効果に影響を与えないことは分かりますし、それを患者さんに伝えることは簡単です。でもそれだけでは、ちょっと頭でっかちというか患者さんの立場にたって考えられない薬剤師になってしまうのかなと思っています。

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