鳥取県薬剤師会長の辞任に思うこと~地域医療の分断~

薬剤師業界の中では話題になっていた鳥取県薬剤師会のニュース。

結局、会長が辞任するという結果になりましたね。⇒敷地内薬局手挙げの徳吉・鳥取県薬会長が辞任。2日の臨時理事会で表明、後任に原常務理事

まあ何らかの形でケジメをつけないといけないような~とは思っていたのですが、結局は辞任。

それについては妥当とも思うのですが、この話題を通して地方の薬剤師会に思ったことがあるので、今回は記事にしようと思います。

※鳥取は地方という前提で書いてます。鳥取の人ごめんなさい(笑)

これまでの経緯

ことの始まりは平成29年3月。取赤十字病院が敷地内薬局を募集したところ、なんと優先交渉権を得たのが、鳥取県薬剤師会の会長が社長を務める徳吉薬局だったのです。

当然、このニュースはかなり波紋をよびました。なぜなら、敷地内薬局に関して日本薬剤師会は反対の立場を取っているからです。

日本薬剤師会が反対している敷地内薬局を、鳥取県薬剤師会の会長が率先して開こうとしている。

これが問題にならないわけもなく、鳥取県薬剤師会でも相当揉めて、理事が辞表を提出する騒ぎとなりました。他の中国ブロック4県の薬剤師会長からも、「もう一度考え直せ」というような話が出ていました。

その後、今月2日に再度会長から説明を受けるための理事会が開かれたのですが、その場で会長が辞任を申し出たそうです。

なぜ手を挙げたのか

なぜわざわざ県薬の会長が敷地内薬局に手を挙げることになったのか。

ニュース等によく書かれているのは、

「チェーン薬局によって地域医療が分断されてはいけないので、仕方なく自ら火の中に飛び込んでいった。」

という話です。まあ本当かどうかは分かりません。

そんなのは建前で、敷地内薬局でお金を稼ぎたかっただけなのかもしれません。我々外部には何が真実かは最後まで分からないと思います。

チェーン薬局による地域医療の分断

今回このニュースを受けて自分が思ったことは、「確かにチェーン薬局によって地域医療が分断される可能性はある」ということです。

現在の日本において、都心部と地方では医療の状況が全く異なります。調剤薬局の話をすれば、都心部ではチェーン薬局がかなり増えてきましたが、地方ではまだまだ個人薬局が多いです。

そして、個人薬局が多い地方ほど薬剤師会の結びつきが強いです。

地方の薬剤師会は結びつきが強い

想像してみればそれも当然で、チェーン薬局であれば上から色んな情報も回ってきますし、同じ薬剤師の知り合いも社内でできます。

しかし個人薬局だと、情報は全て自分で集めないといけないですし、その情報が正しいのかも分かりません。そして、それを相談する薬剤師も身近にいません。

なので、自然と個人薬局が多い地域ほど薬剤師会の結びつきは強くなり、その地域において薬剤師間のコミュニケーションは活性化します。

チェーン薬局の進出

しかし、ここ数年でチェーン薬局は地方にもどんどんと進出していきました。(正確に言えばその多くはM&Aで、それによって薬局名は変わらなくても中身はチェーン薬局、という薬局も増えています。)

そうするとどうなるか。薬剤師会に所属しなかったり、所属しても名前だけで活動には全く参加しない薬剤師が増えます

参加するメリットがあまり無いんだから、当然といえば当然です。

チェーン薬局は異動が多いという事情も関係してくるかもしれません。

長い時間をその地方のために費やし、今後も費やしていくであろう個人薬局に対し、チェーン薬局の薬剤師は転勤族のようなものです。会社の都合でその地方に来たものの、またいつ別のところに異動になるか分からない。

それでは積極的に薬剤師会に参加するわけがありません。

(もちろん、地域での活動に積極的に参加する薬剤師もいます。比率の話です。ただ、その地域の問題に対する当事者意識は低いんじゃないかと思います)

空気を読まないチェーン薬局

これはチェーン薬局を非難するわけではないことを先にことわっておきます(笑)

上記のような理由から、チェーン薬局は薬剤師会あまり積極的に参加しません。そうなると、これまで薬剤師会で良くも悪くも話し合いで決めていた部分の空気が読めません。チェーン薬局は利益重視でガツガツいってしまいます。それが本来の資本主義経済だからです。

事実、敷地内薬局の多くはチェーン薬局です。

会長の気持ちも分かるけど…

こうして、今まで連携を取りながら上手く回っていた地域医療に、チェーン薬局が進出してくることで連携も取れなくなってしまう

これが会長の言う地域医療の分断ではないでしょうか。

そして、確かに会長がそういったチェーン薬局による地域医療の分断を嫌がる気持ちも分かります。分かりますが、それでも敷地内薬局を開くのはマズいでしょう?笑

ただの徳吉薬局の社長ではなく、県薬の会長でもあるわけです。そこは節度を持った行動をするべきです。

まとめ

以上、鳥取県薬剤師会のニュースを通して地方の薬剤師会に思ったことを書いてみました。

チェーン薬局の地方進出についてどう思いますか?都心部に住んでるとなかなか実感できないですが、地方ではチェーン進出の影響が結構あります。

もちろん体力のあるチェーンだからこそ出来ることもあるし、でも地域医療の分断が進む可能性もある。表裏一体といったところでしょうか。ちなみに自分はチェーン薬局で働いてます(笑)

あと個人的には敷地内薬局そのものには反対していません。それよりも、敷地内薬局とそれ以外の薬局を同じ調剤報酬の中で扱うことに問題があるのではないかと思っています。

※分かりやすく記事中では「チェーン薬局」と「個人薬局」という風に書きましたが、
「チェーン薬局」=大手チェーン薬局
「個人薬局」=個人薬局+小規模チェーン薬局
という風に捉えていただければ幸いです。徳吉薬局も7店舗を持つ有限会社です。

2 件のコメント

  • 私は地方在住の薬剤師で薬剤師会の支部長をしております。鳥取県薬剤師会長の件は辞任が妥当でしょう。チェーン薬局による地域分断は否定しませんが理事会も通さず独断で行った事により大義名分はありません。薬剤師会入会のメリットとデメリットを考えるとメリットは分が悪そうです。薬剤師会も会のあり方を再考する時期に来ていますが本腰で取り組む方はいませんね。チェーン薬局の内、基幹病院の門前だけ入会して残りの薬局は情報貰うだけというのがいい例です。当然、薬剤師会の活動にも非協力的ですね。

    • 伊内様
      コメントありがとうございます。私も辞任は妥当だと思いますが、辞任しても敷地内薬局を辞めない点は納得できないですね。確かに、薬剤師会に入会するメリットが少ない気がします。病院薬剤師やドラッグストアと別々に張り合ってる場合ではないのかなと思います。

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