薬価収載と新薬創出加算の意外な関係性

前回の記事で、ナゾナックス点鼻液のジェネリック医薬品の発売時期がハッキリとは分からないことを紹介しました。

前回の記事>>ナゾネックス点鼻液のジェネリックはいつ発売?

1つ目の理由が、無効審判次第ということ。

そして今回紹介する2つ目の理由が、薬価収載と新薬創出加算の関係です。

新薬創出加算とは

新薬創出加算は正式名称『新薬創出・適応外薬解消等促進加算』といい、後発品のない新薬で値引率の小さいものに、一定率までの加算を行う仕組みです。

実質的には加算によって、薬価改定があっても薬価がほぼ下がらずに維持されます

そして後発品が薬価収載されると加算が消失するため、それまでこの加算によって維持されていた薬価がいっきに下がります。

詳しくは厚労省の資料をどうぞ⇒新薬創出・適応外薬解消等促進加算

本来であれば薬価は改定のたびに下がっていくものですので、この加算によって薬価が維持されることはメーカーにとって新薬を開発する大きな目的となっていました。

ただ現在、中医協ではこの加算を再検討しているところで、今後も同様の形でこの加算が残っていくかは微妙なところです。

プラビックス錠の例

具体例を出すと、プラビックス錠75mgは前回の薬価改定で282.70円→201.20円と大きく薬価が下がりました。

通常ここまで大きく薬価が下がることはなかなかありません。

これは、その前の6月にプラビックス錠の後発品が薬価収載されたため、それまで新薬創出加算によって維持されていた分まで薬価がいっきに下がった結果です。

医薬品販売開始までの流れ

次に、薬価収載との関係性を理解するために医薬品販売開始までの流れについて簡単にまとめておきます。

ご存知の方が多いかと思いますが、薬を開発してから発売されるまでにはいくつかの段階があります。

①薬を開発して治験も問題なく終了し、「よし発売しよう!」と思ったら、まずは製造販売承認を取得する必要があります。この時に、治験の結果は問題無いか等がチェックされます。

②無事に製造販売承認を取得することが出来れば、次にメーカーは薬価収載の申請をします。絶対にするというわけではないのですが、保険診療や保険調剤の際には薬価収載されている必要があるので普通はします。申請がある度に収載するわけにもいきませんので、収載の時期というのは決まっています。後発医薬品だと年2回、6月と12月です。

③そして薬価基準に収載されてようやく販売開始となるわけですが、収載から原則3ヶ月以内に販売開始しなければなりません。ほとんどは収載と同時に販売開始しますが。

ここで重要なことは、定められた期間の中であれば薬価収載の申請や販売開始を好きな時期に行って良いということです。

実際にオルメテックやクレストールのAGは、6月に薬価収載されましたが9月まで販売開始しないですよね。

ギリギリまで先発医薬品を売ろうという戦略です。

AG薬価基準収載による新薬創出加算の消失

これらのことを考えると、ナゾネックス点鼻液のAG医薬品が、製造承認を取得しても薬価収載を先延ばししてる理由が分かりますよね。

つまり、今回製造販売承認されたモメタゾン点鼻液「杏林」が12月に薬価基準収載してしまうと、次の4月の薬価改定においてナゾネックス点鼻液の新薬創出加算が消えてしまうわけです。

AGなので先行発売した方がシェアは取れる・・・でも12月に収載してしまうと次の薬価改定でナゾネックス点鼻液の薬価が大きく下がってしまう・・・

しかも、薬価収載してしまうと原則3ヶ月以内に販売開始しないといけないですからね。

取り敢えず薬価収載しておいて、他のジェネリック医薬品メーカーの様子を伺うということも出来ないわけです。

まとめ

これが、ナゾネックス点鼻液のAG医薬品が製造承認を取得したにも関わらず、薬価収載もせず発売時期がハッキリとは分からない理由の2つ目になります。

薬価収載と新薬創出加算の関係なんて、あまり意識することないですよね。

意識するのは製薬メーカーのお偉いさんだけではないでしょうか(笑)

ただやはり、一番大きな要因は無効審判と他のジェネリック医薬品メーカーの動向だと思います。

12月に他のジェネリック医薬品メーカーが薬価収載するようであれば、AG医薬品も薬価収載するでしょう。

他が薬価収載しなければ・・・普通はAG医薬品も薬価収載しないと思うのですが、そこはMSDとキョーリンメディオの戦略次第といったところでしょうか。

4月の薬価改定でナゾネックス点鼻液の薬価は大きく下がってしまいますが、それでも十分な利益を得られるようであれば、他のジェネリック医薬品メーカーの動向に関係なくAG医薬品を発売する可能性もあります。

その辺りは本当にメーカーの戦略次第で、周りから見てる分には楽しいので今後も注目していこうと思います。