OD錠で口内炎?製剤の影響による副作用にも注意を!

「OD錠にしてから口内炎ができたんだけど、薬の副作用かな?」

先日こんな質問を患者さんから受けました。

自分が働いている薬局では、先日からメマリーの在庫を普通錠からOD錠に変更したところだったんですね。そのタイミングでこの質問。

ん~OD錠の性質から考えてありそうだけど・・・でもハッキリとは・・・

その患者さんはOD錠になってから水を使わずに服用しているとのことだったので、とりあえず以前のように水を使って服用して様子を見るように伝えました。

その後まだ来局されていないのですが、ちょっとネットで調べたところ他にも同様の症例が報告されているみたいなので、簡単にまとめておこうと思います。

民医連に報告された症例

症例)60歳代、女性、アトルバスタチン錠をアトルバスタチンOD錠に変更したところ、1週間後に舌先に口内炎が出現。自己判断で休薬。中止して3週間後には、口内炎は改善した。

口腔内崩壊錠は、もとの錠剤と違う添加剤を使って、水を飲んだり、かむ必要がなく服用できるようにした薬剤です。成分は同一でも、他と全く同じ薬剤というわけではありません。実際に水無しの状態で服薬すると、高齢や口渇などの原因から、薬剤が口腔内に停滞する可能性があります。その際、口腔内に残った薬剤や添加剤が原因で口内炎が発生したと考えられます。

全日本民医連 副作用モニター情報

うん、ほぼ同じ内容ですね(笑)

OD錠の崩壊は水分の影響を受ける

症例報告にも書かれていますが、水無しの状態で服薬すると、高齢や口渇などの原因から薬剤が口腔内に停滞する可能性があります。そして、停滞した薬剤や添加物が原因で口内炎を起こすと考えられるわけです。

OD錠は、最初に発売された頃からは大きな進化を遂げています。
現在第4世代まであり、第5世代も開発されているところです。RACTAB技術に関する記事でも書きましたが、世代が進むにつれて硬度が増しています。以前はただ錠剤の内部をスカスカにして崩壊しやすくしていましたが、最近では特殊な粒子を開発して、硬度を維持しつつ錠剤内部に水分が浸透すると素早く崩壊するような作りになっています。

東和薬品のRACTAB(ラクタブ)技術について、詳しくまとめてみた

2017.07.06

この「錠剤内部に水分が浸透すると素早く崩壊する」というのが鍵で、もし水分が無ければ崩壊しない、つまり崩壊には一定量の水分が必要ということです。

OD錠は唾液で飲み込む必要がある

また、OD錠で気を付けなければいけない点として、水を使わなくても最終的には崩壊した薬を唾液で飲み込む必要があるという点があります。

高齢者は唾液量が減る

高齢者は基本的に唾液量が減っています。成人の頃と比べると2分の1から3分の1程度まで減っていると言われています。そうなると、最近の崩壊に水分を必要とするOD錠だと崩壊しにくくなる可能性が考えられます。また、崩壊した薬を飲み込むのにも時間がかかる可能性があります。

抗コリン薬

さらに、抗コリン作用をもつ薬にもOD錠は多く存在します。抗コリン薬の副作用といえば口渇。薬の影響によっても唾液量は減少します。もし高齢者が抗コリン薬を飲んで口渇の副作用が出ていたら。どの程度唾液の量が減るのか気になるところです。

崩壊の目安は30秒

加齢や薬の副作用でどの程度唾液量が減るのか。かなり個人差もあると思うので、一概にどの程度というのは難しいです。

ただ目安と出来る指標があります。それがOD錠の崩壊時間です。

OD錠を設計する時に、およそ30秒で崩壊するように各社開発をしています。もし唾液の減少で薬の崩壊に時間がかかっているなら、この30秒という時間が延長していることが予想されます。もしOD錠を水なしで服用している患者さんで口内炎が気になる場合には、一度OD錠を口に含んで完全に崩壊するまでにどの程度の時間がかかるかを測定してみても良いかもしれません。

添付文書の副作用の記載

最後に、そんな面倒なこと考えなくてもOD錠で口内炎になるなら添付文書に書いてあるんじゃない?って思った人もいるかと思います。そうなんです、そうなっていれば楽なんですが、残念ながら添付文書はそこまで便利なものではないんですよね。

例えば、最近OD錠が追加になったリリカの添付文書がこちら

カプセルとOD錠が一枚の添付文書になっています。つまり、副作用や薬物動態は同じということになります。

次にアレロックOD錠の添付文書がこちら

こちらは普通錠と添付文書が別になってますが、副作用等はアレロック錠の内容です。

なぜこうなるかと言うと、先に普通錠を発売して後からOD錠を発売する場合、OD錠を「水なし」で服用した時と「水あり」で服用した時の両方の場合において、普通錠と生物学的同等性が確認できれば新たに治験をしなくても良いことになっているんですね。

つまり、生物学的同等性が確認できているのだから副作用等が異なるはずがない、という考えです。

まあその考えに異論はありません。ジェネリックも基本的にその考えですからね。

ただ主成分による副作用は同じでも、製剤の変化による副作用は生物学的に同等でも異なってくるんじゃないかというのが自分の考えです。口腔滞在時間が多少長くても血中濃度はそこまで変わらないでしょうからね。異論は認めます(笑)

まとめ

以上、OD錠を水なしで服用すると口内炎になることがある?というお話でした。

まだ症例は少ないですしOD錠の影響と確定しているわけではないですが、今後もしOD錠にして口内炎ができている人がいたら疑ってみようと思っています。

OD錠に関しては、口腔粘膜からの吸収についても議論がされているようです。今後もOD錠は増えるでしょうから、もしかしたら承認申請のガイドライン等に変更があるかもしれませんね。

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