貼付剤を開発するだけで医療費は削減できる

表題の件、前から思っていたんですけどどう思いますか?

薬局で働いている方なら分かると思いますが、もし処方される薬が内服薬から貼付剤に全て変更されたら薬局はかなり経営が厳しくなります。

調剤料が激減するからです。

それはイコール医療費の削減を意味します。しかも薬価が下がる場合とは違って、メーカーや卸への影響はほとんどありません。薬局の利益が減るだけです。

しかし今のところ、痛み止め以外の貼付剤はほとんど存在しません。貼付剤は内服薬と比べて家族による管理がしやすい等のメリットがあるのですが、いまいち開発が進んでいません。

今回は、貼付剤の開発と調剤料についてまとめてみようと思います。

内服薬と外用薬の調剤料

調剤料について今更詳しく書く必要も無い気がするので要点だけ。

調剤料とはその名の通り、調剤をすることで薬局が算定する料金です。シンプルに調剤の手数料と考える人もいれば、薬を仕入れたり保管したり情報管理したりする労力に対する手数料と考える人もいます。

平成28年4月1日からの調剤報酬点数表では、調剤料は以下の通りになっています。

<内服薬>
14日分以下の場合 (1〜7日目の部分)   5点/1日分
〃         (8〜14日目の部分) 4点/1日分
15~21日分の場合:70点
22~30日分の場合:80点
31日分以上の場合:87点

<外用薬>
10点

貼付剤への変更でどのくらい安くなるのか

内服薬の調剤料と外用薬の調剤料で大きく違うところは、内服薬の調剤料は処方日数に応じて増加していきますが、外用薬の調剤料はどれだけ多く処方しても変わらないところです。

具体例として認知症の薬を見てみます。

アルツハイマー型認知症の治療薬としてはアリセプトが一番有名だと思いますが、2011年にイクセロンパッチ及びリバスタッチパッチという貼付剤が発売されてます。

この2つのパッチは名前が違うだけで製剤自体は一緒なのでまとめて話しますが、もしアリセプトを28日分処方されていた人がイクセロンパッチ又はリバスタッチパッチに変更になったらどうなるか。

<アリセプトが28日分処方された場合の調剤料>
28日分は「22~30日分の場合:80点」に含まれるので、調剤料は80点

<イクセロンパッチ又はリバスタッチパッチが28日分処方された場合の調剤料>
外用薬なので何日分であろうと調剤料は10点

1点が10円なので、内服薬28日分1種類を貼付剤にするだけで700円もの差額が発生します。

薬価の話とか規格の話とか、細かいことはかなり省いています。大雑把に、内服薬を1種類貼付剤に変更するだけで、1ヶ月で何百円も安くなるっていうことを知ってもらえればと思います。

このように貼付剤がもっと開発されて、日本中で内服薬から貼付剤にどんどん変更されていったら、医療費はかなり削減できるでしょう(薬局の利益もかなり減ります)

貼付剤の種類はかなり少ない

そんな貼付剤ですが、痛み止めを除くとまだ種類が限られています。

有名なものとしては、

抗パーキンソン剤:ニュープロパッチ
アルツハイマー治療剤:イクセロン、リバスタッチ
血管拡張剤:フランドルテープ、ニトロダームTTS
気管支拡張剤:ホクナリンテープ

この辺りでしょうか。

他にもホルモン剤など数種類はあるのですが、内服薬とは比較にならないほど種類が少ないです。

貼付剤を開発するのは難しいのか

では何故種類が少ないのか。貼付剤は開発するのが難しいのでしょうか。

自分は製薬会社で働いてるわけでもない普通の薬剤師ですので、そのレベルでも知れる情報での話になりますが、貼付剤の開発は難しいです。

皮膚に薬を貼るということは皮膚を通して薬を吸収させる必要があります。しかし皮膚表面には角質層が存在し、薬の吸収を邪魔してしまうのです。そのため、これまで低分子で脂溶性の薬物しか貼付剤は開発されてきませんでした(脂溶性の低分子化合物に限り皮膚からの吸収が可能です)。

新しい経皮吸収投与システム「Nitto Passport System」

とはいっても少しずつ貼付剤の製剤技術も研究が進んでいて、2016年には日東電工が第一三共と提携して、新たな経皮吸収システム「Nitto Passport System」の開発・製造に力を入れていくことを発表しています。(⇒日東電工株式会社

このシステムの特徴としては、

痛みなくかつ安全に皮膚表面に微細な孔を開けるマイクロポレーション技術と、粘着テープに薬物を加えて皮膚に貼付する技術を組み合わせた新しい経皮投与技術

だそうで、これによってタンパク質や核酸のような高分子の薬物や親水性の薬物も、皮膚から吸収させることが可能になるそうです。

今後、もしかしたらこの技術を利用した貼付剤が次々と発売される日が来るかもしれません。

まとめ

以上、貼付剤の開発と調剤料についてまとめました。

少しずつですが貼付剤の開発は進んでおり、もし今内服で処方されているような薬の貼付剤が次々と発売されたらどうなるか。おそらく医療費の削減にはかなり貢献すると思われますが、同時に薬局もかなり削減されると思います(笑)

医療費の削減を目的として開発なんてしないでしょうが、結果として医療費は下がるのでぜひ貼付剤の開発には力を入れていってほしいと思います。

まあその前に調剤料に修正が入るでしょうが(笑)

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