調剤薬局で業務の効率化を追求しすぎた結果、失敗してしまった話

※これは友人の話に自分の考えを加えています。

私が薬剤師2年目だった頃の話です。

当時働いていた調剤薬局はパート薬剤師の方が多く、2年目ながら管理薬剤師に次ぐ2番手でした。
この管理薬剤師というのがまた微妙な人で、コミュニケーションが下手で薬局の従業員になかなか指示を出せず、業務をうまく回せないことから、他の薬剤師や事務さんからの評判はあまり良くありませんでした。

業務を上手く回せないもんだから薬剤師の残業時間も多く、残業時間を減らすことはその薬局における長年の課題でした。

そんなわけで、2年目ながらも2番手だった私は、若気の至りもあって血気盛んに業務の効率化を行いました。

実際に行った業務効率化

ここでは、実際に行った業務の効率化を紹介します。

効率化の手段としては、大きく2つ。
機械の導入によって仕事量を減らすことと、
同じ仕事量に対して人間の無駄な行動を減らすこと

このうち、資金はかかるけど効果が大きいのが機械の導入。

具体的には以下の通りです。

①電子薬歴の導入

私が薬剤師になりたての頃はまだ紙薬歴の薬局も多く、電子薬歴への切り替えが進み始めた時期でした。
これによって薬剤師の薬歴記入が楽になるだけでなく、事務さんの紙薬歴を探す手間や処方を印刷する手間が省けました。

②自動薬袋

それまではシールを印刷して薬袋に貼っていたため、事務さんが1人確実に取られていました。
そこを自動薬袋にすることで、事務さん1人分の仕事をまるまる減らすことに成功しました。

③自動分包機の導入

かなり一包化の多い店舗だったので、これの導入によって薬剤師0.5人分くらいの仕事は減らせました。
カセッターも大量に作りました。

④練り太郎(軟膏混ぜ機)

軟膏の混ぜもかなり膨大な量が出る店舗でした。1000g近い混ぜなんて、もう二度と手動ではやりなくないですね(笑)

⑤POSレジの導入

これは1日単位ではそこまで仕事量が変わらないんですけど、OTCの棚卸の簡略化であったりレジ誤差を減らすことが出来ました。

機械を導入して仕事量を減らすことによる業務の効率化はこれくらいですが、他にも無駄な行動を減らすことによる効率化も多数行いました。
具体的には、発注の自動化や検品の簡略化、動線の整理などですね。

業務の効率化を追求した結果どうなったか

さて、業務の効率化を追求した結果どうなったでしょうか。

なんと。

事務さんが暇になりました(笑)

そうなんです、事務さんの仕事量が圧倒的に減ったんです。

もともと薬剤師は薬歴などで残業が多かったのですが、事務さんはそこまで残業があったわけではないんですよね。
それなのにどんどんと業務の効率化を進めたものだから、事務さんの仕事は適切な量を下回り、逆に仕事が足りないレベルになってしまったのです。

そうするとどうなるか。

薬剤師が事務さんに対して不満を持ち始めます。

業務の効率化によって薬剤師の残業時間は大幅に減りましたが、それでもまだ多少はあります。
一方の事務さんは仕事が減り、暇そうに雑談したりしています。

私が必死に働いている時に周りで暇そうに雑談とかされるとイラっとしますよね。

そういった時に、薬剤師でなくてもできる仕事を薬剤師から事務さんに振れば良いのですが、そこはコミュニケーションが下手な管理薬剤師。我関せずで何も変わらず、薬剤師の不満は溜まる一方。

その結果パートの薬剤師が数名辞めてしまい、結局薬局は回らず残業地獄に戻ってしまったのでした。

まあ事務さんには振れない仕事っていうのも多々あるので難しいところではあるんですけどね・・・

人件費は下げにくい

これは経営者からすれば常識なのですが、人件費っていうのはなかなか下げられません

今回のように業務の効率化によって人手が余るような状況になったわけですが、そうなっても簡単に人手を減らすことはできません。

日本ではなかなか従業員をクビにすることはできないですからです。

じゃあ他店舗に異動してもらえば良いっていう話ですが、薬剤師ならまだしも事務さんはどこの薬局も不足しているわけではないんですよね。

さらに言えば、事務さんは異動なしという条件で雇っている人も多いです。そういう条件にすることで給与を抑えている面もあるわけです。

これからの時代、薬局数のさらなる増加は望めません。M&Aで買収することはあっても、新規で薬局を増やすペースは明らかに落ちています。
業務の効率化によって人手が余ったから他の店舗に異動してもらうっていうのも、今以上に難しくなってくると思います。

業務の効率化だけでは状況は改善しない

事務さんも業務が多すぎて残業時間が酷いのであればまた話は別なのですが、そうでないなら効率化を追求しすぎるのもどうかと思います
薬剤師の仕事を事務さんに振ろうにも、現実的には薬剤師法などの問題で振れない仕事も多々あるからです。

適度に業務の効率化を行いつつ、薬剤師と事務に仕事を適切に割り振り、程良い労働環境を作ることが管理薬剤師に求められる一番の仕事と言えます。

新しい売上を作り出す必要性

また別の解決法として、業務の効率化によって余った時間を別の売上を作り出す時間に使うという方法があります。

業務の効率化を行ったからといって売上は変わりません。
人件費に関しては残業代は減るかもしれませんが、それもある一定のところまでです。

じゃあ人件費がこれ以上減らないなら、次は売上を増やそうという話です。

例えば登録販売者の資格を取ってOTCを売ったり、食生活アドバイザーの資格を取って食生活の相談にのったり。
こういったことは別に薬剤師でなくても出来ますし、事務さんでも空いた時間を利用して売上を増やすことが出来ます。

調剤薬局という医療施設だと、なかなか売上を増やす方法っていうのは思い付きにくいのですが、業務の効率化によって時間に余裕が出来たのであれば何か新しいことに挑戦してみるというのもアリかなと思います。

まとめ

以上、業務の効率化を追究しすぎて失敗した話でした。

通常の小売店などとは違って、調剤薬局っていうのは時間があるからといって新しく売り上げを作るのは難しいんですよね。
時間が余ったら時間が余っただけ、ただ暇になるということが多々あります。

ですので、業務の効率化を追究しすぎるのも良くないと自分は思っています。
もちろん仕事量が多すぎてどうしようもないっていう状況なら話は別ですけどね。

ただの自己満による業務の効率化はやめましょう。
適切な効率化適切な仕事量適切な仕事の割り振り適切な人員配置の方が全然重要です。

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